これももうずいぶん長いこと使っている。
購入当初からその完成度の高さは、アウトドアの雑誌や各メディアなどで取り上げられていたが、自分で実際に使ってみて思ったことは、まず故障がほとんどないということだ。
今日でも20年を越えるロングランモデルとして、多くの登山家やキャンパー、アウトドアマン達に幅広く指示されている。
全体的にシンプルな構造になっていて、小さいながらも重厚感がある。
僕は他にもホワイトガソリンタイプのものと、2243よりもっと小型のガスカートリッジタイプを所有しているのだが、プリ・ヒート、ポンピングなどが面倒なので、ホワイトガソリン使用ものはほとんど使用しなくなってしまい、結局友人にあげてしまった。ゆえにこのガスカートリッジタイプを主に使ってきた。
最新のモデルに全く引けを取らないモデルだ。
ストーブの場合、よく「噴射口の目詰まり」だとか「火力が上がらない」などといった故障をよく耳にするが、そういったことはこれまで全くなかった。もちろん使用頻度もあるのだろうが、とにかくこのプリムス2243は故障が少ないと思う。
気になるゴトク部分も本体と一体成形になっていてコッフェルいっぱいに水をはってのせてもグラツキ感もない。
後で聞いた話だが、このゴトク部分をXグリッドと言うらしい。これにより、バーナーヘッド(火がつく部分)の部分を4面に区切り、一つの区画が風で消えてしまっても他の区画は着火を保つように設計されているようだ。これにはちょっと驚いた。
今では当たり前に付いてある自動着火装置も当時から付いていて、当時としてはハイテクなコンパクトストーブだった。
最新モデルは確かに小さく、軽く、火力も強くていいのだが、本体のゴトク部が頼りなくぐらつく感覚がある。
どうしても構造上軽く、コンパクトにするためには、軽量なチタンなどを使ったり、全体的にフォールディング(折りたたみ)構造にしなければならないため、全体的に頼りなく、いわゆるズッシリ感が損なわれがちである。
もちろん気のせいかもしれないが、この2243はゴトク部分そのものにも厚みのある金属で重量感があってどっしりとした感じがとても気に入っている。そして笑われるかもしれないが、私的に見た場合あまり小さすぎるのも困るという点だ。
今の時代なんでもかんでも小型軽量化が図られる傾向がある。アウトドア用品のみならず家電やオーディオその他生活品など。
例えば携帯電話がいい例で、確かに一昔前と比べると薄く軽く高機能である。
某メーカーの携帯電話はコレのどこに機械が入っているの?って感じがするくらい薄かった。しかし実際手に取ってみて(もちろん慣れもあるのだろうが…。)あまりの薄さ軽さに使いにくさを感じさせられた。人間の手や足の大きさや形は原始時代から全く進化していない。
やはり手になじむというのはしっくりとした重さや、形、大きさから形成されていることだと思う(もちろん個人差があるのでこれは個人的な見解だが…。)
話がそれたが、それにあまり小さすぎると、キャンプの時どこにおいたのかがわからなくなったりするのだ。「それはアンタがドジだからだろう!なんて声が聞こえてきそうだが、実際足首くらいの草むらにテントを張ったときに、ザックからいろいろセッティングのために道具を出してその辺に置いておいた。だんだん日が暮れてきてあたりが薄暗くなってきた頃だった。ふと気がつくと置いたはずのバーナーが見あたらなかった。必死になってあたりを探すも、だんだんと暗くなってきて、とうとう探すのを断念してしまった。
そう他にもエアマットの空気入れや、テーブルやチェアのセットなど真っ暗になる前にやることはたくさんあるのだ。夜になって本当にあたりが闇になってしまいランタンをで照らしつつ探すも、結局見つからなかった。
幸い予備でもってきていた2243で事なきを得たが、翌朝、草の影に隠れているところを見つけた。まあ、ケースに入れとけば、すぐに見つかっだろうが…。まったくドジな話だった。
もちろんバックパッカーに言わせると、とにかくザックの中身は少しでも軽い方がいいわけで、「バックパッカーでないキミはファミリーキャンプ用のツインバーナーでも使ってろよ!」なんて言われそうではあるが、私はこのタイプのコンパクトストーブが好きなのだからしょうがない。
それにキャンプといってもほとんどがカヤック主体のキャンプなわけで仲間達2~3人でキャンプするためそんなに大所帯的及び大名的な設備はまったく必要がない。(しかしいくつかは所有しているが…。)
結局このタイプのコンパクトストーブ2台あれば足りてしまう。
そういうわけでこの2243は私のキャンピングのスタンダードなのであります。
朝露でぐっしょり濡れていた時も、しっかりと点火して、頼もしいばかりに紫の炎を上げて、お湯を沸かしてくれた…。
強い風がフライシートをなびかせている夜でも、しっかりと点火して、これまた頼もしいばかりに紫の炎を上げてお湯を沸かしてくれた…。
誤って蹴飛ばしてしまったときも、すねずにしっかりと点火して、頼もしいばかりに自慢の紫の炎を上げてお湯を沸かしてくれた…。
何ヶ月も使ってなく、手入れも全くしていなくても、長い眠りから覚めたようにしっかりと点火して、これまた「これでどうじゃ~!と言わんばかりに」頼もしいばかりに紫の炎を上げてお湯を沸かしてくれた…。
こんな思い出が数多い。考えてみればコイツといろいろな所へ行った。車に積み放しの時もあった。(もちろんガストリッジは家に持ち帰っていた。)
なんて感傷的な文になありつつあるのだが、実は2243を引退させる気はまったくない。だって今も現役だし、まだまだコイツは働けるから。
そしてなによりも私の手になじむ最高のパートナーだから。
イワタニ・プリムス株式会社 http://www.iwatani-primus.co.jp/