現在のページ : ホーム » カヤックって何?
現在のカヤック(Kayak)とはその昔、アリューシャン列島(北太平洋に弧状に連なる列島のことで、アメリカのアラスカ半島からロシアのカムチャツカ半島に連なる全長約1,930kmにもわたる列島のこと)その大部分がアメリカのアラスカ州に属しており、イヌイット (Inuit) やエスキモー(Eskimo)達が極寒の海でのアザラシ・クジラの狩猟に使っていた小型の船がカヤックの原型とされています。
海で使うカヤックは横波をかぶっても、カヤックの内部に浸水しないよう狭いコクピットに座わり下半身をすっぽりとカヤック内部に潜り込ませる構造になっています。
イヌイット (Inuit)は、カナダ北部の氷雪地帯に住む先住民族のエスキモー系諸民族の一つで、人種的には私達日本人と同じモンゴロイド(Mongoloid)です。
そのイヌイット (Inuit) 達が食糧確保のため、海の狩猟に出ることは極寒に地域では必然の結果であり、海での狩猟をより確実かつ有効におこなために創り出されたものがカヤックでした。
その原型は現在のフォールディングカヤック(ファルトボート)近い形状をしていて、木や動物の皮(主にアザラシやアシカなど)をなめして貼るというものでした。
アザラシやアシカなどの皮には油がふんだんに含まれており、それだけで防水性はかなり高く機能的なものでした。
形状的な特徴としては細長く鋭い船体にデッキ部(乗り込んだ時に足がすっぽりと覆われている)いて、横波などからの船体のよじれを防ぎ、低い喫水線はダブルブレードパドルで漕ぐことにより、それまでの小船とは格段に違う俊敏性と操作性を生みました。
また保温性においても乗る人の下半身がすっぽりとカヤックの中に入っているので、上半身さえしっかり防寒してあれば極寒の海では非常に高かったと考えられているようです。
またどっかりとコックピットに深く座ることで長時間の漕行(漕いでいくこと)に耐えることが出来きました。
イヌイットたちは家族のために、極寒の海へ獲物を求めてこの小さなカヤックで漕ぎ出していきました。
この小さなカヤックは、自然とともに共存してきた彼らの英知や想いががギッシリと詰まっている乗り物だったのです。
もちろん海での狩猟や移動手段に使われていました。というのもイヌイット達がカヤックを使って狩猟をしていた時代は現在のように自動車や他の交通機関もほぼ皆無に等しく海での狩猟は言うまでも無く生きていくうえでの糧となり、それに使われていたカヤックは彼らの宝だったに違いありません。
また生活物資の搬送にもカヤックは大いに役立ったことでしょう。
いずれにしろカヤックは彼らにとっては掛け替えの無い物だったことはまちがいありません。
カヤックを語る上で忘れてはならないのがエスキモーロール。
エスキモーロールとはカヤックが沈(ひっくり返ること)した時にカヤックから出ないで、腰の返しとパドルのストロークで復元する方法のことで、これはカヤックの細長い船体と低い喫水線(きっすいせん)が可能にしています。
他のウォータースポーツでは類を見ない技とも言えるエスキモーロールは極寒の海での狩猟が安全になったことは言うまでもなく、まさに厳しい自然と共存してきたイヌイットたちの宝ともいえます。
現在においてカヤックはアウトドア・レジャーでよく使われています。
フィッシングや川下り、過激なものになってくるとホールダイブ(滝落ち)やエクスペディション的なものまであります。
またフリースタイルカヤックのように決められたスポット(川に点在するホールやウェーブ)などで流れに対してカヤックを回したり、立てたりと技を競う競技もあります。
フリースタイル大会などでは得点方式でこれらの順位を決めるます。
オリンピックの正式競技であるスラロームも複雑な川の流れを漕ぎ下り、指定されたゲートをひとつづつくぐり、尚且つタイムを競いあいます。
このように一口にカヤックといっても様々なジャンルに分かれていて使い方も実に様々です。
カヤックはコックピット内部に下半身をすっぽりと入れ足は伸ばします。つまりべったりとカヤックの内部に座る形になるのです。
カナディアンカヌーは膝をついて漕ぐかシートに座ってパドリングします。当然カナディアンカヌーよりカヤックは水面により近いところで漕ぐことになり、視線もカナディアンカヌーと比べ低い位置です。そのためちょっとした瀬でも水しぶきをかぶりながらパドリングすることになるのですが、水面により近い分、操作性(回転性)おいては他に類を見ないほどの運動性能があり、ちょっとしたリーニング(傾けること)をかけただけでもカヤックは簡単に曲がっていくほどの運動性能があります。