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リカバリー・セルフレスキュー

ハイブレス

リカバリー（Recovery）とは「回復」という意味があります。

ハイブレスとは、カヤックに乗っていて不意にバランスを崩しカヤックが「グラッ！」と傾いた時（ひっくり返りそうに）なったときに、カヤックを立て直す（ひっくり返らない）ようにするためのテクニックです。

 

 

ハイブレスは、パドルの表面を使ってリカバリーするテクニックです。
そのままカヤックが「グラッ！」ときた状態を自分で想定してわざとカヤックを左右に傾けます。
そして自分より遠くの水をブレードの表面（水をかく方）で、大きくキャッチします。パドルの表面でキャッチしたと同時に膝を返してカヤックを起こします。
このとき頭は一番最後に上げます。

 

 

ローブレイス

ハイブレスと同様に、カヤックに乗っていて不意にバランスを崩しカヤックが「グラッ！」と傾いた時（ひっくり返りそうに）なったときに、カヤックを立て直す（ひっくり返らない）ようにするためのテクニックです。

 

ローブレイスはパドルを自分のおなかくらいの位置で持ちます。そしてハイブレスの時と同様にカヤックが「グラッ！」ときた状態を自分で想定してわざとカヤックを左右に傾けます。
今度はブレードの裏面（水をかかない方）で小さく、近くの水をパドルの裏面で水を押さえたと同時に膝を返してカヤックを起こします。（このとき手首をかえさないこと）

 

 

 

 

ハイブレスもローブレスもそれぞれ一長一短があります。その時のカヤックの状態やフィールドの状態などで使い分ける必要があります。

 

 

セルフレスキュー（カヤックから脱出する）

カヤックがひっくり返ると当然のことですが息ができません。この後で紹介するエスキモーロール（以下ロール）が出来れば一番いいのですが、最初の内はなかなか出来ません。脱出は初心者の人にとって必須要件となるので、しっかりと覚えてください。

 

 

(1)スプレースカートを外す

ひっくり返った状態で、前にかがみ込み、スプレースカートのグラブループを掴み手前に引いてスプレースカートを外します。
注意）カヤックで漕ぎ出す前に、必ず装着したスプレースカートのグラブループが外に出ていることを確認してください。
お尻を浮かし、足をカヤックから抜いて脱出します。このとき出来れば、パドルを離さないようにしましょう。水面に顔が出たら、カヤックのコーミングを掴み、下から突き上げるようにしてカヤックを起こします。
カヤックのコックピットにパドルを差し込みます。
流れのある場合は、その状態のままカヤックに掴まってしばらく流れてゆき、流れが穏やかな所に来たら、カヤックのスターン側のグラブルーブを掴んで、バタ足もしくはカエル足でカヤックを岸まで押してゆきます。
岸にあがったら、カヤックの中に溜まった水を、コックピットまたはドレンプラグでを使って抜いて完了です。
注意)このとき水が大量入ったカヤックは何百キロにもなっています。無理して持ち上げるなどして、腰を痛めないよう、くれぐれも注意してください。）

 

 

エスキモーロール（スウィープロール）

エスキモーロールとはカヤックに乗っていて、バランスを崩してひっくり返ってしまった時に、カヤックから脱出しないで起き上がるテクニックです。

見た目には難しそうですが、コツさえ覚えればそんなに難しくはありません。

ここでは様々なロールの中から、最も多くのカヤッカーの人達が使っている、スウィープロールを紹介します。

 

 

(1) セットアップ

水の中で起きる側のデッキに身体を引き付けます。（前かかみの状態です。）
次にパドルを水面に出します。（両方のブレードが完全に水面に出たことを確認してください。）水面に突き出した両方の手首がカヤックのサイドのボディに触れるようにします（この時にパドル側の手首を返さない）。
ロールの成否はこのセットアップにあるといっても過言ではありません。このセットアップのフォーム（体制）が崩れていると、いくらストロークしても、ヒップスナップ（腰・膝の返し）の効率が悪くなり、失敗の原因になります。ですから「セットアップが悪いな・・・」と水中で感じたら、もう一度セットアップを試みてみることも大事なことです。

 

 

(2)スウィープストローク

セットアップの状態からパドルを持っている方向から後ろ側に、水面をストロークするようなかたちで動かします。決して手、腕を動かすのでなく、身体全体の捻りでする。この時ストロークしている側のブレードを水中に沈めないよう注意します。そしてストロークしているほうとは逆のブレードは、カヤック（裏返った状態）のボトムのスターンの乗っかるような形になります。これは両方のブレードが写真のように水中から出ていないといけません。

ブレードをストロークすると同時に、ヒップスナップ（腰・膝の返し）で起き上がろうとする方向へ起こします。このとき身体の捻りのスウィープストロークとヒップスナップ（腰・膝の返し）の動きを同時に行います。そして視線は身体の回転方向（水の底から後ろ）を目で追います。

これによりヘッドアップ（カヤックの復元より頭が先に上がること）を防ぐことが出来き、効率よくカヤックに復元の力を与えることができます。

 

(3)頭は最後

スウィープストロークとヒップスナップの動きでカヤックが起き上がってきても、頭はそのままにします。

ほとんどのロールの失敗の原因はヘッドアップ（カヤックの復元より頭が先に上がること）をしてしまっていることが原因なのです。

カヤックが完全に起き上がってから、頭を出します。ヘッドアップを防ぐコツとしては、水中での視線をカヤックのスターンデッキが見えたら、再度確認する気持ちが大事です。